こんにちは、京世です。
私は新卒で入社した会社を5か月で退職しています。それから4年経った今は、充実した毎日を過ごしています。
もし、今の私が昔の私に語るとしたら、なにを伝えるだろうと考えてみたところ、
その時の経験を語って「がんばりゃいいってもんじゃない」てことを伝えるな、と思いました。
今回は昔の私に伝えるというていで、私の経験とそこで得た教訓を語りたいと思います。
新卒入社した会社を5か月で退職
大学を卒業し、大手企業に入社。晴れて社会人1年目を迎えた私はその5か月後、鬱となって会社を退職しました。
まずどんな環境だったかをざっと説明します。
怒号を浴びせられるのは当たり前な職場でした。私自身は怒られることが少なかったのですが、同期が先輩に大声で怒鳴られているのを見ると、自分のことのように傷つきました。なので、終業後も仕事内容を復習し、休み時間を使って同期に教えていました。それでも、指導という名のもと同期(男子)がパンツ一丁になり、冷蔵倉庫で一発芸をさせられていました。(もうこの時点で意味不明)
入社して2か月たったころ、重い荷物を持ち続けたせいで腰椎がつぶれ、歩行すら困難になりました(当時の私は23歳です)。休職を余儀なくされ、労災を申請しようとすると、会社から「そんなのは(労働監督基準署から)認められないと思うよ」「あなたが悪いんじゃないの」と言われました。なんやかんやと言われながらも何とか労災を申請し、無事認められしばらく休職しました。休職中はずっと安静にしていたため、数週間で腰椎も無事元に戻り、腰痛もなくなりました。そしていざ復職するとなったときに、会社から「腰痛が再発または悪化しても自分自身の責任です」という念書を書かされました。復職して間もなく、腰痛が再発し、再び歩行困難となりました。会社には「この念書、書いたよね?あなたの責任だよね?」と言われました。
再度休職しました。前回はしばらく安静すれば腰痛が治まり、腰椎ももとに戻りましたが、2回目はどれだけ安静にしていても治りませんでした。整形外科でいくら検査してもらっても、腰椎に異常はない。通院のたびに強い痛み止めを出してもらっているのに、痛みは一向にひきませんでした。会社には休職中も毎日電話で状況報告するよう求められ、痛みが引かないという報告をするたびに、「ズル休みをしていると思われているんじゃないか」「でも前みたいに治ったと思って再発したらまた迷惑をかけるから嘘はつけない」と悩み、苦しみました。
社会人になったのに立派に自立できない自分が情けない、人に迷惑ばかり掛けている自分の存在が許せない。やがて自分の不甲斐なさに腹が立ち、罰を与えたくなりました。食事をとらず、夜も眠らなくなりました。それでも足らず、親に隠れて自傷行為を始めました。
どんどん痩せていき、生気を失っていく私を見て、父は「もういい」と言いました。「もうこの会社とは縁を切ろう。あとは全部お父さんがやるから。もう一切会社と連絡を取るな。」その翌日、母に付き添われ、心療内科を受診した私は「適応障害」と診断され、薬が処方されました。
その後、父から退職の手続きが完了したと聞いた際はこれで解放されたと思いました。しかし、その後もしばらくは苦しみが続きました。電車に乗るとパニックを起こし、過呼吸を起こすようになりました。過呼吸で死ぬことはないと知っていたのですが、一度重度の過呼吸により、体が痙攣、意識を失ってしまい、救急車で運ばれてしまいました。なので、しばらくは一人で電車に乗ることができませんでした。自傷行為もしばらくはやめられませんでした。ストレスを感じると自分を罰しなければという気持ちを抑えられず、繰り返し行っていました。(今は完全に克服し、幸いにも傷跡は残りませんでした)。
ざっと述べるとこんな感じです。乗り越えたと思っていましたが、いざ書いてみると涙が出てきました。充実している今でも、私にとっては辛いと思う経験だったんだと、改めて感じさせられました。
昔の私に伝えたいことーがんばりゃいいってもんじゃない
いつも周囲からは「頑張り屋さん」と言われてきました。そして「頑張り屋さんだから、頑張りすぎないようにね」と。今の私も昔の私に言いたい「頑張りすぎんな」(笑)。しかし変にストイックな私は周囲にうん。と言いつつも「でも頑張らなかったら成長しないじゃん。」と一生懸命頑張ります。実際、学生時代は努力すれば大抵報われてきました。入社前の私が、5か月で会社を退職した私を見たら「根性なしが!!」と吠えていたかもしれません。昔の私はそういうやつでした。
ですが社会に出た瞬間、今までと同じように頑張ったはずなのに、私は報われませんでした。それどころか頑張れば頑張るほど追い込まれ、鬱にまでなりました。今の私は、あの時の環境を「酷くて理不尽な環境」と捉えていますが、問題だったのは環境だけじゃありません。
実を言えば、当時の私は先輩社員の態度などを見て、入社前から違和感(不信感)を抱いていました。今の私ならその違和感を持った時点で退職します。昔の私も、その時点でなくともせめて鬱になる前に辞めればよかったんです。でも、昔の私は「頑張らなきゃ!!」ということしか頭にありませんでした。
なので今の私から、昔の私へはこう伝えます、「がんばりゃいいってもんじゃない」。
がんばりが報われるにはどうしたらいいのか
『努力は報われる』これは確かにそうだとは思いますが、少し言葉が不足していると感じます。「努力は報われる。ただし、常に工夫が必要である。」と今の私は思います。
まず努力とは、ある目的のために力を尽くして励むことです。ちなみに、目的とは最終的に到達したいところです。
そして工夫とは、最善の結果を求めて考えられる限りの方法を尽くすこと、またはその方法です。
社会人1年目の私は、目的が曖昧なまま、ただひたすら頑張って理不尽に耐えるだけでした。これは頑張ってはいますが、努力とは言えません。
フルマラソンだったら、フルマラソン=42.195㎞と定めずに走り続けるようなものです。42.195㎞を過ぎても、ゴールが定まっていないので、永遠に終わりません。途中で力尽きるだけです。たまたま走っている自分を見かけた人に「頑張っているね!」と褒めてもらってモチベーションが上がったり、「こうフォームを変えたらいいよ!」とアドバイスをもらって走るのが速くなったりすることはあるかもしれません。でもそれは、たまたま運がよかった・環境がよかったおかげで努力が報われた気がするだけです。頑張って走っているのに誰にも応援されず、灼熱の中走り続け、脱水症状を起こし途中で力尽きる…。たまたま運が悪かった・環境が悪かったならばこうなります。
だからまずはゴールは42.195㎞先だと定めます。実際に走ってみてもうちょっと走れそうだったり、ダメそうだったらその時にゴールを変えたらいいのです。とりあえず今、最終的に到達したいと思うところを定める。そしたらただがむしゃらに走り出す……のではなく、ゴールにたどり着くまでの方法を考え尽くします。どれぐらいのペースで走れば最後まで持つか、途中で脱水症状にならないようにどこで水分補給するか、気温が高いなら影のある道を選んだり、帽子を用意したり……これが「工夫」です。たとえ1回目は達成できなかったとしても、最初にペースが速すぎたから次は体力温存しよう、日差しが強い場所があるからサングラスも用意しよう、と経験を生かして工夫を重ねていきます。そうしてやっと、頑張って走ったら42.195㎞を走り切れる、つまり努力したら報われるのです。42.195㎞を走り切ったら、次はタイムを縮めようとか、もっと長い距離を走れるようになろうなどと、また目的を定めます。目的がどんどんレベルアップしていけば、自ずとそれが成長となるのです。
報われないときは目的を見直す
と、昔(入社前)の私へは「自分でゴールを決めて、そこに辿り着くまでの道を考え尽くしながらがんばることが努力だよ。ただがむしゃらにがんばりゃいいってもんじゃない。」ということを、とりあえず伝えます。昔の私はこれを聞いて多分、「まずは3年働くことを目的にする」と決めると思います。そしてそのための工夫と努力をすると思いますが、結局あの職場で3年働き続けることはできなかったと思います。
誤解のないようにあえて言っておきますが、「3年働かないと仕事の良さがわからない」「3年以内の離職は次の転職に不利」というのは世の中の傾向としてあると思います。なので3年働くという目的自体は悪いものではありません。しかし3年働いた先にあるものが、腰を痛めて歩行困難になったとか、精神を病んだとかでは結局、最悪の結末です。
じゃあどうしたらいいのか?またフルマラソンの例に戻りますが、これは実際に走ってみたけどどんなに手を尽くしても42.195㎞を走り切れなさそう……という感じです。その時は目的を見直します。どのように見直すかというと、なぜその目的を達成したいのかを考えます。すると実は「ホノルルマラソンに出たいから」だったり、「体を絞りたいから」だったりするかもしれません。前者であれば、「参加できればOKだから、とりあえず今年はハーフマラソンを走れるようになろう」とゴールを20㎞に変えるのも手です。後者であれば、運動だけでなく食事も改善したほうがいいかもしれません。見直してみて、やはり目的は「42.195㎞を走り切る」であったとしても、そこを再認識したということが重要になります。
“どんなに方法を考え尽くしても目的を達成できないとき”、又は“達成する方法が思いつかなくなったとき”は、「なぜその目的を達成したいのか」と目的を見直してみてください。これも「工夫」の一つです。
この投稿を読んでくださっているあなたへ、もうひとつのアドバイス
この投稿を読んでくださっている方の中には、昔の私のように会社のことで悩んでいる方もいるかもしれません。今回は「がんばりゃいいってもんじゃない」と気づいた経緯をお伝えするために私の経験を話しましたが、私がいた環境と自分の環境を比べて、「京世がいた環境よりはマシだから自分は耐えよう」思ったならば、どうかその考えは捨ててください。私にとってはつらい環境でしたが、同期の中には特に気にならないと今でもその職場で働いている人ももちろんいます。この投稿を読んで「そんなことで、入社5か月で辞めるなんて甘ちゃんだな」、そういう風に思う方もいるかもしれません。でも、私はつらかった。これが私の本心です。
私の心が私のものであるように、あなたの心もあなたのものです。他人のものさしではなく、自分のものさしで測っていいんです。もし今、辛いと感じているなら、どんなに工夫しても今の職場では自分の目的が達成できないと思っているなら、環境を変えるのも一つの方法です。
「3年以内の離職は次の転職に不利」は確かに傾向としてあります。数か月で辞めたという事実だけを見て、書類選考すら通さない企業だってあります。でもちゃんと自分自身を見てくれる企業もあります。私の経験でいえば、退職までの期間に転職活動を行い、すぐに次の会社に拾ってもらいました。そこで3年半勤めたのち、今は自分の夢のためフリーランスとして活動しています。大切なのは、運・環境・他人のものさしのような外的要因に左右されず、「自分の目的を達成できる環境はどんなものか、その環境に身を置くためには何が必要か」を考え尽くして行動することだと思います。
自分の人生の主導権は自分で握っておく、これが今の私からあなたへのもう一つのアドバイスです。
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